MOK Structural Design Unit

FUMIKO MISAWA & STAFF BLOG三澤文子&スタッフblog

真夏の暑さ対策

暑中お見舞い申しあげます。大阪は毎日猛暑が続きます。

さて、私たちの設計する住宅では、断熱性能が上がってきていますので、真夏の熱気を家の中に入れてしまうのは厳禁です。ただ、日射をしっかり遮ると、比較的涼しく暮らすことが出来ます。

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MSDお得意の格子網戸は、多少お部屋の中が暗くなりますが、日射遮蔽に大いに役立ちます。涼しげなほの暗さ。谷崎潤一郎の『陰影礼賛』を真夏に味わうのはいかがでしょうか?

格子網戸とは、この名称のとおり、格子状の網戸(黒のサランネット)です。日中は室内からは外部がよく見えますが、外部からは中の様子はほとんど見えません。格子は防犯にもなりますので、夜は窓を開け、風を入れてお休みになることも出来ます。

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また、日中、熱風を入れないためにガラス窓を閉めた場合は、日射を遮る(日射遮蔽)働きによって室内の温度を上げることを抑えてくれます。窓の近くにいて、この格子網戸を閉めた瞬間、スーッと涼しさを実感するのですから、効果はまちがいありません。

さて、昨年秋に伺った 名古屋の矩折屋根の家。南デッキの上に夏の名残の葦簀(ヨシズ)が乗せてありました。ガラス屋根の上に大きな葦簀を乗せると、どうしても取り外しに手間がかかり、さらに雨に濡れたあとの汚れも気になります。そこで、今年の夏は、取り外しが楽で、爽やかな方法を提案いたしました。

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ガラス屋根の下に簾(スダレ)を取り付け、軒先はとりつけたバーに回し込み、寸法を合わせて垂らすという方式。なかなか見え方が涼しげではないでしょうか。

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この簾は、少々高級。希望寸法でそろえてもらいます。 品番は 白唐よしES-604(井上スダレ)

「目に涼しい。」これも暑さ対策の一つですね。

MSD三澤文子

| 16年08月05日

あたたかい繋がり

MSDにインターシップ生の申込があり、私たちと一緒に頑張っています。

人(建築家)を育てる 三澤康彦さん 文子さんの考えの基

インターシップ生は日々いろいろな事があります。

昨日はMSDより2件お隣にありますMOK-SOHOへお邪魔して建築設計の実務についてお話をお聞きする事ができました。

トヨダヤスシ建築設計事務所 豊田保之さん

暮らしの設計ツキノオト 船木絵里子さん

キノマチ不動産 藤村直樹さん

かたつむり構造 藤本千絵さん

ご多忙にも関わらず、たっぷりとアドバイスを頂きました。

あたたかい皆さんとの繋がりに感謝いたします。

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黙々と軸組模型をつくる 大阪府立大学工業専門学校 逢坂涼平さん

| 16年07月27日

実結の森が竣工いたしました。

昨年1月より設計が始まった、障害者福祉サービス事業所「実結の森」が竣工し、去る5月14日に「新築を祝う会」が開催されました。

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この実結の森をはじめ、他2か所の事業所を運営している、NPO法人来夢の理事長Kさんが「手づくりの会なので・・・」と言われていたように、とてもほのぼのとした竣工式でした。

その言葉のとおり、来賓の挨拶など、多少形式的な式典が終わると、第2部はツィンバロの演奏会。演奏者のharuさん(渡辺敏晴さん)の独特の語りで、すっかり、リラックスムードになってしまいました。

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素敵なツィンバロ演奏については、いずれどこかでご紹介するとして、今回は、実結の森の木造施設についてご紹介いたします。

まずは内部から。

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玄関を入ると正面がゴツゴツの木の壁。(写真左手)これは、Jパネルにナグリ加工をしたものです。色を塗ったほうが良かったのでは?と言う意見もありましたが、木の温かさを目と手で感じてほしいと思い、あえて無塗装にしました。右手に見える幹(枝?)は百日紅(さるすべり)。茶室では小間の床脇などに使うもので、奈良の梅田工務店さんからわけてもらいました。これは手摺なので、握ったり、触ったりするものです。これらは、なかなか好評のようです。

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玄関の土間部分はJパネル張りの着色塗装。ここまでが土足で、木地になるラインで靴を脱きます。段差はありません。

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幅広の廊下から作業室を見ます。左手が玄関ホール。右手は6畳の和室(相談室)です。この和室は、一人になりたい利用者さんが、使われることもあるようです。

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和室の前の廊下から、右手に作業室、左手に玄関ホール、そして玄関ホールの向こうの多目的室まで見通せます。どこに誰がいるのか見通せる。これも、このような施設では必要なことではないかと思います。半面、一人でこもれるスペースも必要ということも解りました。

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作業室は、間仕切り引き戸で、2室に区切ることが出来ます。その先にはトイレスペース(トイレ2室)があります。

ここはスパン5mの空間。実は、計画段階で、地元の木材供給会社「杉生」に行き、天然乾燥で桟積されていた8寸×4寸の6M材が大量にあることを発見。それを使うことが前提で、片流れの架構にしたのでした。

8寸の梁が@333、なかなか力強いです。

野地板はもちろん、Jパネル。見上げはすべて杉材です。壁もJパネルの落とし込み壁。

床は清潔感のある桧板。このように、この作業室は、本当に木で囲まれています。

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作業室内の洗面台も杉パネルで。

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トイレも杉板(Jパネル)です。そして広い!

栗製の大工さん造作手摺もニューバージョンです。

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シャワー室~ユーティリティーもふんだんに木を使っていますので、爽やか感があるのではないでしょうか。

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施設のちょうど真ん中には、厨房があります。まるで、大家族の家の台所のようです。イベントの時にはみんなでお菓子つくったりするそうです。さらに今後は使い道も広がっていくことが期待できます。

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さて、多目的室のこの部屋は、今後、増築を見越してのフレキシブルな空間です。正面の印象的な窓は、樹脂製サッシの外に木製の網を付けたもの。この木製網戸は、長野の建具屋さんからお値打ちで入れてもらいました。この建具にはこれまでのストーリー(いつかブログでご紹介します!)があるので、きっとここでも、ストーリーをつなげていってくれることと思います。

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高い天井の多目的室。2室を分ける差し鴨居と束は、漆塗りです。艶のあるいい色に仕上がりました。

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外壁は杉板の下見板張り。倉のようなカワイイ切妻の棟が出迎えてくれます。

数年後に増築の計画がある「実結の森」。木々や花や野菜がたくさん実るような、里山の農家建物を彷彿とさせるような、そんな完成像を描いて、完成御祝いの会には、パネル展示に合わせて、最終完成模型を展示しました。

いつの日か、大きな屋根の下でみんなが集い、共に暮せるようになることを祈っています。

MSD三澤文子

実結の森概要 →施設作品ページはこちら

所在地:愛知県豊橋市
構造:木造平屋建
建築主:特定非営利活動法人 来夢(らいむ)2016年竣工
設計:三澤文子・MSD佐治あゆみ
構造:TE-DOK(河本和義・福本満夫)
施工:戸田工務店(佐々木信男・大久保好朗)

主な性能
構造性能:耐震性能等級1
温熱性能:UA値0.39W/㎡K Q値2.0W/㎡K

| 16年06月16日

MSDにて漆塗装を行いました

先週はMSD、Ms共同で漆塗装を行いました。

MSD三澤文子漆塗装事例はこちら

F邸MSD漆塗り記事はこちら(Ms日記)

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三澤康彦さん、文子さん、沢田欣也さん(沢幸漆店)、コア建築工房の大工さん、MSD、Msスタッフ総勢11名にて漆塗装を行いました。
朝は全員でミーティング、漆師匠の沢田欣也さんから漆の注意点などをお聞きしました。


早速作業開始です!
MSDにて改修工事中のS邸の材料を塗装します。まずは弁柄(最古の顔料)にて着色を行います。

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設計担当の日野さんにより、名栗加工されたJパネルに弁柄塗装が進みます。

隣では、Msスタッフにて阪南ゲストハウスの漆塗装が行われています。
こちらは、着色はせず檜に漆が塗られます。

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漆の乾燥は湿気が必要な為、湿度を保つのが大変なのですが、今回は湿度が保たれた倉庫にて順調に作業が進みました。

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お昼は皆で、三澤文子さんの温かなお料理を頂き

康彦さんのドリップコーヒーを飲みながら休憩。。。

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午後は、着色した弁柄も乾きいよいよS邸の漆塗装です。

写真は、三澤康彦さんと沢田欣也さん

MSDとMsによる漆塗りは2日間行いました。

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IMG_0600.JPG石川県からお越し頂きました(沢幸漆店)沢田欣也さんお疲れさまでした。

コア建築工房さん大変お世話になりました。

S邸工事のご報告は、改めてさせていただきます!

MSD新井

 

| 16年06月07日

住宅竣工しました。伊丹市「素地の家」

日本のモダニズム建築100選に、工業化住宅で唯一選ばれたというセキスイハイムM1の横に、シンプルな切妻屋根の、小さな木造の住まいが完成しました。この木の家をお住まいに、セキスイハイムM1は今後、夫妻の仕事場に使われます。

もともと夫妻のご両親の住まいであった茶室をもった趣きのある木造の家が、阪神大震災で被害にあい、その年に、急に迫られつくった家を、今回取り壊して、新築することになりました。セキスイハイムM1のほうが築年数は古かったのですが、「これは残すべき。」との考えに、ご夫妻も私も、何の疑いもありませんでした。

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取り壊した家に取り付いていたご両親のためのスロープをそのまま活用。60歳を過ぎたご夫妻にとって、ご両親が使われていたスロープに、必要性をかなり感じていたようでした。

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南向きで、日当たりの良い敷地。庇を1.2m出して日差しをコントロールします。南のボーチも広く、さまざまに活用されることが想像されます。
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軒先には、杉材で造った、よしず掛けがあります。夏はよしずと格子網戸で日射遮蔽です。
右手、大きく開いた窓は、片引きの木製建具。窓高さが床から400㎜。風通しもよさそうです。

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写真左手の玄関建具も窓のような造り。日差しをたっぷり入れる取得タイプ(断熱タイプ)のlow-eガラス。そして夏は日射遮蔽の格子網戸が定番です。玄関の横には、大工さん造作のポスト、インターホン、照明。これも定番です。

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150㎜×75の垂木にJパネルの野地板あらわし仕上げ。水平構面Jパネルでしっかりかためています。耐震性能をしっかりとることは、震災を経験されたご夫妻の第一の希望でした。

また、耐震性がありつつも、木の豊かな表情を楽しみたい。それも、お二人ともデザイナーのご夫妻の希望でした。特に、造形作家の奥さまの作品の色が、きっと入ってくるからと、極力、色を付けずに素材の色だけに。と強く希望されました。それで「素地の家」と名付けたわけです。
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構造材は、和歌山の伸栄木材の杉。いつも吟味してくれる担当の中谷さんのお蔭で、小屋裏の見えないところまで、良材が組まれています。床は東濃ヒノキ。天井の杉と、床のヒノキ、2色の木の色が楽しめます。
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小上がりになった茶室の床下には、もれなく収納が出来ています。奥行1.8mの引き出しもあります。400㎜上がった茶室は、今回、とても気持ちを込めて設計しました。

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4畳半の小間。お茶会も行うとのことで、ご主人とずいぶん打合せを重ねました。杉板の竿縁天井は、従来の竿縁天井とは違い、7分板の、板の継ぎ目を竿縁で隠す方法です。さらに舟底。大工さんの渡利さんがしっかりつくってくれました。

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4畳半の天井際、竿縁には廻縁が付くものですが、南側のみ 付け梁で、その他三方は構造材です。その証拠にDボルトの黒の丸型(ハンマーナット)が良く見えます。
ご主人は、「掛け軸やお花の説明と共に、このDボルトの説明もお客様にしますね。」と、私のDボルト秘話を、熱心に聴いてくださいました。
ちなみに床柱は、奈良市の梅田工務店まで、ご主人と一緒に行き、買い求めたコブシです。

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実は、この茶室の北側も全て襖のつづき部屋。こちらは水屋など置いて、主にもてなす側の空間になるようです。

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茶室からリビングダイニングを通して、奥さまの寝室まで見通せます。あえて開口部を広く取ってほしいということで、個室さえも、つづき部屋感覚です。写真左手奥がキッチンになります。

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脱衣室から浴室を見ます。
定番のハーフユニットバス(TOTO)にH600mmタイルを貼れば、壁板のサワラもカビの心配はありません。もちろん換気をしっかりお願いしています。天井は勾配天井。これも鉄則です。

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平屋のこの家には2畳半のロフトがあります。初めて搭載した「そよ換気」も見えます。写真左手には頂側窓を設けて、通風の工夫もしました。
「何よりも夏の暑さ対策をお願いしたい。」との希望でしたが、夏・冬とも、この、そよ換気がどのような効果を与えてくれるのか。それが楽しみです。

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奇をてらうのではなく、「何しろシンプルな家を。」というのが奥さまの口癖でした。
ここ奥さまのお部屋の窓際からみた景色。「素地の家」を言い表した空間になっていると思うのです。

MSD三澤文子

素地の家 概要

設計:三澤文子(MSD)担当/佐治あゆみ(MSD)

構造:河本和義・田畑勝(TE-DOK)

施工:コアー建築工房 大工/渡利道夫・監督/貝渕宏典 

構造材:伸栄木材/中谷好伸

延床面積:77.48㎡(23.43坪)

工期:2015年10月~2016年3月

主な性能

長期優良住宅

構造性能/耐震性能等級2

温熱性能/断熱等性能等級4

UA値(外皮平均熱貫流率)=0.55W/㎡K、ηA値(冷房期の平均日射熱取得率)=1.9

| 16年05月13日